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藍を食す
薬草としての藍
美味しい藍
藍を食べよう!

藍を食す 昔は薬草として親しまれてきた藍。解毒や解熱、消炎に役立つとされ、ごく⾃然に食生活の中にありました。食としての藍を学び、「藍のある食事」をちょっと試してみませんか?

薬草としての藍 薬がなかった時代に、⾝体を元気にしてくれたのが藍。

藍は、薬草として珍重された歴史は古く、書物にも記述が数多くあります。たとえば、『本草和名』(918 年)には、解熱剤として藍実を紹介。『原色牧野和漢薬草図鑑』(北隆館発刊)には、「生藍の葉、乾燥葉、種子の生および煎じ液が、消炎、解毒、止血、虫さされ、痔、扁桃腺円、喉頭炎に効果あり」と記されています。また、すくもを生で食べるとフグ中毒に効果があるといわれ、江戸時代、藍の商人が長州を訪ね、ひと握りのすくもと交換にふぐ料理をごちそうになったというエピソードも残こります。

  • 葉 [⽣薬名:藍葉(らんよう)]
  • 藍の葉は、ちぎったところから根を生やすほど生命力が旺盛。
生葉の絞り汁
やけど、口内炎、唇荒れ、腫れ物、毒⾍の刺し傷、肋膜炎、月経不順、便秘に効果がある。
葉の煎じ液
解熱、解毒、痔、⿂やキノコの中毒に効果がある。
生葉、干葉
冷え症の人がお腹の上に置いて寝ると効果がある。また、頭の上に置いて眠ると安眠効果がある。
  • 実 [⽣薬名:藍実(らんじつ)]
生葉の絞り汁
解熱、解毒、魚やキノコの中毒、精力衰退、腹痛に効果がある。また、煮出したお茶は、
滋養強壮に効果がある。

藍の食べ方

藍は、葉も実も食用として親しまれていた身近な薬草です。藍の、食あたり防止や解毒作用といった薬効をごく自然に食生活に役立てていました。『徳島県薬草図鑑』(徳島新聞社/昭和59 年)の「アイ」の項の用途には、「食・染料」とあることから食用として一般的だったことがわかります。

昔は…
  • 実を発芽させて、刺身のツマにする。
  • 新芽をうどんの薬味として利用。
  • 葉は天ぷらにして、日常のおかずにした。
  • 鮎料理に添えるタデ酢に。辛みの強いヤナギダテの葉を通常使用するが、代用としてタデ藍は重宝された。
  • 乾煎りして急須に入れ熱湯を注ぎ、3分ほど蒸らし注いでお茶として飲む。
藍の料理会

昭和62年に、藍染めの復活運動に熱心な中西仁智雄氏の提案で、藍の料理会が開催された。料理を担当したのは、徳島県藍住町の「うなぎや」と、徳島市内の「きく樽」。その時の献立は以下の通り。

うなぎや
藍葉酒、藍実酒/藍葉揚げ/藍豆腐/藍雑炊/藍だし/藍御前/藍蓮契り(藍葉とレンコンを組み合わせるもの)/藍鮎膳/藍つみれ/藍和/藍若サラダ
きく樽
藍茶/藍味噌添えの煮物/鮎の塩焼き、タデ藍の酢添え/藍葉の天ぷら/吸い物に、藍実、藍実あられ/百合根と合鴨の藍葉羽二重蒸し

暮らしに欠かせない存在だった いのちを守る藍

体に良いとされる藍の成分は、研究により裏付けされています。

藍は、染料の原料としてだけでなく薬⽤植物として古くから、解毒や解熱、消炎のために利⽤されてきました。また、中国医学では、流⾏性感冒、脳炎、細菌性下痢、急性胃腸炎に効果があるとされています。
近年、タデ藍の成分分析や研究が進み、さまざまな疾患の原因とされる活性酸素を消去する抗酸化物質であるポリフェノールや、抗菌物質であるトリプタンスリンを含むことがわかっています。ポリフェノールの中でもケルセチンやケンペロールを特に多く含んでいます。ケンペロールは、野菜ではホウレンソウに最も多く含まれますが、藍においてはホウレンソウの10倍含有します。
昔の暮らしの知恵が、今、研究によって裏付けされました。いのちを守る藍の力に改めて注目したいと思わずにはいられません。

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薬草としての藍
美味しい藍
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